Text by 薬剤師ろぎー ネイリストとして仕事をするときに、覚えておいておかないといけないのが「グリーンネイル」です。 直訳すると「緑爪」になりますが、まさに文字通りで、爪が緑色になってしまうものです。 この原因は「緑膿菌」という菌が悪さをしていて、通常であれば心配しすぎることはないのですが、長期間放置するのは危ない!ということを今回の記事では解説していきます。 そもそも緑膿菌とは? 「緑膿菌」とは、Pseudomonas aeruginosaという学名の細菌です。 細菌というとこわいなーと思うかもしれませんが、1㎥中に東京では5,000-7,000の細菌が浮遊しています(参考)。 東京ドームが124万㎥なので、普段から私たちのまわりにはすごい数の細菌がいるということです。私たちの身体は100兆個の菌を飼っているというのもうなずけますね。 「緑膿菌」も、土や海や川のなかなど普段から存在している菌(常在菌)で、好気性菌なので酸素のある場所や湿度の高いところが好きな菌です。 健康なひとでも、およそ6-7人に1人(およそ15%)が緑膿菌を保有しているといわれています。 どうして爪が緑になるの?(グリーンネイルの原因) 爪が緑色になると、「爪にカビが生えた」とか「爪の中に菌が増えた」ということがありますが、正確には異なります。 爪が緑色になるのは、緑膿菌が増えていった後にさまざまな物質(ピオシアニンやピオベルジン)を出すことによって緑色になってきます。ある程度増えないと、緑膿菌はこれらの物質を出しません。 そういう意味では菌が増えたから緑になった、は正しくもみえますが、緑膿菌自体が緑ということではありません。 普通に生活しているだけであれば、爪の表面に緑膿菌がついたとしても、菌が増えるまもなく手洗いや家事、お風呂などで流されてしまいます。 しかし、例えばジェルネイルやスカルプチャーネイルをしてからしばらく経った時に、自分の爪とつけ爪の間に隙間ができ、そこに日常生活の中で水が入り込んでしまうと湿度の高い、緑膿菌にとって最適な環境が生まれてしまいます。 そうすると、ジェルネイルをはがすころには増殖もすっかり済んでいて緑色の物質もたんまり作っているので爪が緑でビックリ!というわけです。 グリーンネイルは放置していてよい? 爪が緑色になってしまった!とごしごしと洗ってもなかなか取れません。 それもそのはず、長期間使っている消毒液の中からも出てくることがあるくらい緑膿菌は消毒液に強く、また一部の緑膿菌はバイオフィルムといわれるバリアのような膜をつくることで、更に消毒液や薬などが届きにくくなります。 健康的な人であれば、グリーンネイルになったとしても身体の不調は感じることがなく、爪の乾燥を保ちつつ清潔にしていく事で自然に治ることが多いですが、 グリーンネイルになった後もジェルネイルを続けたり、緑膿菌の繁殖が続いてしまうと、皮膚を通して菌が全身に巡ってしまう可能性もあります。 緑膿菌は抗生物質が効かないこともおおく、もし全身にめぐり肺炎などを起こしてしまった場合には治療が困難になります。今は身体の不調が無いからと油断をせずに、必ず医師に相談して経過をみてもらうようにしていきましょう。 グリーンネイルの日ごろのケア(予防法) 最後に、グリーンネイルを予防するための日ごろのケアの仕方をお伝えします。 最初にあった通り、緑膿菌は湿気が大好きな菌です。なので爪を清潔に保つこと、手洗いのときなど爪に水が入った時にはよく乾かすことが大切です。 また、菌の増殖には免疫も関わります。睡眠をしっかりとる、ストレス対策を行う、免疫が集中する腸内環境を良好に保つことが大切です。 腸内環境の話については奥が深いので、また機会をつくって発信していくので、引き続き最新記事をチェックしてください。 最後まで読んでいただきありがとうございました。そのほかのネイルトラブルについても、こちらに記事があがっているのでぜひご覧になってください。 薬剤師ろぎー (参考文献)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1915/60/2/60_2_101/_pdf
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